クライムハザード
「キミも、どう?」
「……頂きます」
ゆるゆると湯気を立てるティーカップを受けとると、ふわり、と甘い香りが漂った。
透き通った色をしたそれに口を付ける。少し温めのそれを口に含み飲み下すと、不思議と心のわだかまりが解れた気がした。
俺が紅茶を啜っていると、彼女はティーカップを膝の上のソーサーに置き、
「――で、電話の指紋のことだけど」
「はい。調べておきました」
卜部さんは茶封筒から書類を取り出し、彼女のデスクの上に置いた。