クライムハザード
「以前ご報告した通り、採取されたのは被害者の指紋だけでした。ダイヤルボタンからは左手の指紋が検出されています」
「ということは、きっと左利きね、彼女」
(普通、利き手でダイヤルを押すからな)
彼女は、書類に目を通しながら、紅茶を一口。
「ところどころ指紋が薄れている箇所が見られますが、犯人が手袋をした状態でそこに触れたためと思われます」
「受話器は?」
「特には。ご指摘の通り、右手の指紋、及び掌紋の上から、左手の指紋、及び掌紋が検出されています」
ふぅむ。
顎に手をやり、彼女は唸る。その姿は、どこか愉しげだった。まるで難解なパズルを解くように。