クライムハザード
「犯罪者心理は夜魅さんの領分ですからね」
ハンドルを握っていた卜部さんが唐突に口を挟む。
「ごめんね、卜部ちゃん。卜部ちゃんしか頼める人居なくて」
「構いませんよ。寧ろ夜魅さんのお役に立てて嬉しいですから」
「……ありがとう。とにかく急いで、サイレン回していいから」
「了解っ!」
卜部さんは大きくハンドルを切り、アクセルを踏み込んだ。
(どうか……どうか、無事で――!)
車窓を流れる景色など、目に入らなかった。