クライムハザード
 ★

 警察病院――。

 医師に案内されるまま、俺たちはある病室の前まで案内された。

 個室のドアを静かに開けると、そこは白で埋め尽くされた空間だった。

 白い壁、白い天井、白いカーテン、ベッドの白いパイプ。

 白いタオルケットから覗いているのは、血の気の引いた白い腕。

 中性的な顔立ち。

 青ざめたそれは、眠っているだけのようにも、死んでいるようにも見える。

「処置は終了しました。出血量も少ないですし、命に別状ありません。今は麻酔が効いていますが、目を覚ますのも時間の問題でしょう」

 そう言い残し、医師は病室を後にした。

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