あたたかい場所
美紗は多分明日も仕事があるだろうし、事務所の社員として気を遣ってるんだけどな。
由香も美紗の言葉に笑いを隠せないらしく、手を叩いて笑っている。
こういうところは、由香も大阪育ちっぽいな。
ふとソファーの前のテーブルを見たら、空になった瓶が置いてあった。
持ち上げてよく見てみるけど、こんなもの僕の家にあった記憶はない。
パッケージの文字やらを見る限り、これはウイスキーで、しかもかなりイイとこのやつじゃないっけ。
これを飲んで酔ったってことなのか?
「なぁ、これ美紗が持ってきてた?」
「うん。なんか、社長さんに貰ったんだって」
社長か…確かに社長ならかなり値段がしても普通に買ってしまいそうだな。
これも、ためらうことなく美紗にくれたんだろう。
でも美紗って、ウイスキーぐらいで酔うんだ。
意外だな。飲兵衛のおじさんの血を引いているならもっと平気そうなのに。