あたたかい場所
僕は社長室を出て、あの女性についてきた道を戻った。
スパルタって言ってたな…
すごい優しそうだったけど。
穏やかな人であることを、願おう。
彼女の姿を見つけて近づくと、僕に気づいたのか彼女も近づいてきた。
「さっきは名乗らなくてごめんなさい。
有村といいます」
差し出された名刺には、有村千晴と書かれていた。
「青山聡です。よろしくお願いします」
「よろしくね。
青山くんのデスクはね、私の隣なんだ。
しばらくは教育係みたいなのをやらせてもらうから、聞きたいことあれば何でも聞いてね」
僕は案内されたデスクの椅子にカバンを置いて、有村さんの言葉を待った。