あたたかい場所

「なぁ、聡」
「ん?」

相変わらずビールばかり飲んでいた美紗が、いきなり真剣な顔つきになった。


「こないだは、ごめん。聡はあれやんな。
うちのこと考えてくれてたから隠れて片付けてくれてたんよな。

やのにキツく当たって、ごめん」

たくさんの酒が入っているはずなのに、すごく真面目に謝ってきた美紗。



あの時は、僕も悪かったと思う。

隠すなら隠すで、バレないように片付けるべきだったし、
結果的に美紗を悲しませてしまったから、マネージャーとしては恥ずべき行動なんだ。


僕たちが美紗を傷つけてどうする。

美紗を守らなければいけないのに。



こういう状況の中で、美紗は少なからず心にダメージを負っているんだから…


「こっちこそ、ごめんな。

あの手紙に書いてたこと、気にしてる?」




「気にしてないって言ったら、嘘になる…」
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