あたたかい場所

一面ガラスの壁の本屋の、カフェからは死角になっている雑誌コーナーで二人を見張っていた。

翔さんの姿は見えないけれど、男の姿はよく見える。

ずっと紙にペンを走らせている。


翔さんから何か話でも聞いているのだろうか?

それにしても、何を?

男はどう見ても怪しい。



さっき、男が言ってた言葉が蘇る。

“君んとこの大事な仲間、終わっちゃうね”



大事な仲間って…?まさか、な。

男とは、プライベートの知り合いとか?


いや、それにしても脅しのようにしか見えなかったし。

そんな風に考えていると、男がカフェを出ていくのが見えた。



僕はすぐさま本屋を出て、翔さんのいたテラスへ向かった。
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