小さな主人と二人の従者~眠る前に~
「ちょっと!私は何も悪いことなんてしないよ!」
「じゃあ、一緒に悪いことをしようよ。そしたら、ケネスは俺達を追い出してくれる・・・・・・」

 嫌な誘い方をするので、ジュリアはギャレットから遠ざかる。

「追い出すのはお前だけだ。ギャレット」
「どうしてさ!まだそんなに寒くないけれど、数ヶ月後に雪でも降ったらきついよ」

 ギャレットはそんな先のことまで考えているので、もっと別のことで頭を使ってほしい。

「お前はいつまでここに住む気だ?」
「そんなのずっとだよ」

 出て行く気なんてないギャレットにケネスは話を続ける。

「もしも、両親がここへ戻ってきたらどうするんだ?」
「そりゃあ、結婚を前提に挨拶を・・・・・・」

 全部を言い終わる前にギャレットはケネスに遠くへ飛ばされた。

「心配しなくていい。すぐに戻ってくる」

 吸血鬼の力の大きさをジュリアは改めて知った。

「頼むからあんまりギャレットにも隙を見せるな」
「み、見せていないよ!」

 夜遅い時間帯なので、ジュリアが寝ようとしたときに後ろからケネスに抱きしめられた。

「な、何!?」
「わかったか?」
「何が?」

 何を言っているのかわからず、ジュリアは首を傾げる。
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