小さな主人と二人の従者~眠る前に~
「俺じゃなかったら、これだけじゃ済まない」
「きゃっ!」

 ゆっくりと頬から首筋を滑るように指でなぞると、ジュリアはようやく理解した。

「わかったか?」

 ジュリアはコクコクと頷くと、ケネスに頭を撫でられた。

「わかったから、離れて!」
「ちょっと!ジュリア嬢に何をしているのさ!」

 すぐにギャレットが戻ってきたので、ケネスは舌打ちをしかけた。

「・・・・・・何もしていないだろう?」
「嘘ばっかり」

 ギャレットはしっかりと見ていたので、嘘が通用するはずない。
 その後もギャレットとケネスの言い合いは続き、眠る時間が大幅にずれてしまった。

「・・・・・・ジュリア嬢、眠った?」
「ん・・・・・・、起きているよ?」

 ベッドから起き上がろうとするジュリアに、ギャレットはそのままでいいことを伝え、布団を上にかける。

「どうしたの?」
「んー?せっかくだから、二人きりで少し時間を過ごしたくて・・・・・・」

 そう言いながら、ギャレットはジュリアの手を優しく包む。ジュリアもその手をそっと握り返す。

「今度二人でどこかに出かけよう」
「私達で?」
「うん。嫌?」
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