甘くて苦い

警察を呼びたくないと言う私の為に、彼は私と先輩の両親を呼び出してくれた。

速水君は証人として話し合いに同席し、先輩に殴りかかる私の父も抑えてくれた。

結局、警察には届けなかった。

【酔っ払った自分と先輩がケンカになりドアを壊し、部屋にいた安住が巻き込まれた】

騒動の直後、アパートの他の学生が集まってきた時に速水君がついた嘘を、つき通す事になった。

先輩は、直ぐに自主退学をして実家に連れ戻された。
私は、引っ越しこそしたものの、襲われた可哀想な子と言うレッテルを貼られる事もなく、大学を続ける事が出来た。

アルコールの匂いや男の人に対する過剰な拒絶反応も、社会人になる頃にはかなり克服出来ていた。

速水君はずっと、離れすぎず近すぎ、私を気にかけ続けてくれた。
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