どうしようもないくらい好きでした(仮)



今年の冬は、例年に比べて寒さが厳しい。
夜の間に降り続いた雪は、朝になりだいぶ弱まってはきたものの、それでもチラチラと舞い落ちては見渡す限りを白く塗りつぶしてしまう。


何もかもをだ。
歩き慣れた歩道も、見慣れた景色も何もかも。
まるで別世界に迷い込んでしまったようだった。


あれからというもの、陸からの手紙は途絶えたままで。


折角、龍さんからもらった僅かな自信ももはや消え入りそうな程に弱く小さなものとなっていた。


一人で過ごす時間にはだいぶ馴れてはきたものの、溜め息の数は数段増える一方で、何をする気にもならない。




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