どうしようもないくらい好きでした(仮)
──トンットンッ。
「七海、入るよ」
その言葉と同時に開け放たれたドア。
消して、こちらの返事を待つ気は無いらしい。
そこに立っていたのは、ミカンとコーヒーカップを2つ。
それをオボンに乗せた母だった。
私は陸に押し倒されたままの状態で。
ベットに寝転んだままの状態で、ドアの前に立つ母と目を合わせていた。
それと同時に、一人慌てた陸が私の上から飛び退き、部屋の隅に正座する。
そんなに離れなくてもと思う。
私は体を起こすと、母と2人で顔を見合わせ、同時に笑い出していた。
お腹を抱えて笑う私達と、気まずそうな陸。
気の毒には思ったけれど、笑わずにはいられなかった。