どうしようもないくらい好きでした(仮)



立ち上がりドアまで行くと、母からオボンを受け取った。


「返事してから開けてよね」

「はいはい。すみません」


全く反省などしていない。


「じゃあ、ごゆっくりね」


部屋の隅で、気まずそうに縮こまった陸に笑顔を向ける。
たぶん、何の意図もないのだけれど。
母は時々、空気が読めない人なのだ。


その後、陸のムラムラは再発する事はなかった。


冷や汗をかいた、と言って笑う陸が可愛くて、思わず抱きつきたい衝動にかられる。


やっと足を崩して落ち着いた陸に近寄り、膝の上に座ると首に腕を回して抱きしめた。


そして気づけばそっと囁いていた。
陸に対して、おそらく初めて口に出しただろう愛の言葉を。


「陸、好きよ」


そして言ってしまった自分の言葉に、少しだけ後悔をした。





     *   *   *
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