どうしようもないくらい好きでした(仮)
「ねえ、私…この部屋と同じ匂いしない?」
「そう?」
陸は、顔をうずめたまま素っ気なく答えた。
「うん。髪も体も、それから制服も。なんかこの部屋の匂いが染み込んでる気がする。ねえ、このお香って何て言う名前だっけ?」
「デニム。インドのお香だよ。ななは嫌い?」
うずめていた顔を上げると、今度は長い指を髪に絡めてくる。
「嫌いじゃないよ。何か落ち着くし、陸の匂いだから。」
髪に絡みつく指にそっと触れながら、覗き込むように陸の顔を見つめた。