あたしの証~番外編~

▽卒業

季節は巡り。


俺は、その日18になった。



貴さんはきょうさんにこっぴどく叱られたらしく、もう彫れないと申し訳なさそうに謝って来た。

だから、俺の腰には筋彫りのまま時間が経ってしまったタトゥーがある。



今日、それを完成させる為俺はきょうさんの元を訪れていた。



もう、何度か訪れているここの扉を勝手に開ける。


「きょうさん、ちはっす」


俺がそう言いながら、足を踏み入れるときょうさんは訝しげに俺を見た。



「……あんだあ?不良高校生」


「いや、俺不良じゃないですから」


「こないだ総神といただろ」


「…ああ、信司か。って知ってるんですか?」


「まあね~」


「って、んなこといいから、今日俺誕生日なんですよ!」


「…そうなのか。おめでとう」


「………って、忘れてないっすよね?!」


「はは、覚えてる覚えてる。入れてやるよ。だから、今日客入れてねーだろ?」


それで、いつもは必ず誰かいるのに誰もいないことに気が付いた。

誕生日、きちんと覚えてくれてたんだ。

初めてここに来た時、一度言っただけなのに。
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