この道を、君と

言えなかったこと

「チーフ!!おはようございます!!」

朝一の会議を終え、事務室まで歩いているとパタパタと響いた足跡の後、横に大林竣が出現する

「おはよう」

一度も足を止めずにそれだけを告げる砂都美に

「あの!チーフ!!チーフ甘いもの好きですよね?美味しいケーキ屋さん見つけたんで今度行きませんか!?」

急き立てるように竣が告げる

「そう、ねえ」

考えるようなそぶりを見せた砂都美に、竣の期待のまなざしが送られる

やっぱり小型犬?

なんて思いながら

「仕事がひと段落したらね」

一瞥を投げかけて彼を置いてヒールの音を響かせる

「チーフ!それっていつですかー!」

背後でああ、もう!!と撃沈している竣の声が響いて、思わずくすりと笑う

ああ、大丈夫だ

ちゃんと笑えてる

だから、一歩、踏み出してみよう
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