この道を、君と

三年前のこと

「はあ」

ため息とともにつく頬杖

自分で柊二に本当の別れを告げたけれど、思っていた以上にダメージがあったようだ

気温と日差しだけが春へと向かい

それとは反比例に砂都美の心は冴えない

「チーフ!!」

そしてやってくる、うちの部の小型犬(と呼びことにした)

「何?大林君」
パソコンの電源を落とし、帰り支度を進めながらそっと彼に一瞥をくれる

「今日こそは!!今日こそは、ご飯、行きましょう」

ぐっ、と机に手をついて身を乗り出してくる彼に

「そうねえ、芽衣も一緒なら」

そう笑顔で告げる

すぐさま、「わっかりました!!」と受付へ駆けていく彼の背中を

思わず苦笑しながら見送る

「さて、帰りますか」

薄手になったコートを着込み、フロアの電気を消す

廊下に響くのは、砂都美のヒールの音だけだ
< 22 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop