この道を、君と
向かい側で竣が酸欠の魚のように口をパクパクさせているのは、あまりの衝撃に言葉を失ったからか

「前の会社でね。で、離婚して心機一転、この会社に来たわけですよ」

なんて笑いながら言っているけれど

本当はあのままじゃ自分が壊れそうで

何もかも忘れたくて、逃げたくてすべてを捨てた

そして仕事に精を出して

気が付いたら、前にいた会社での経験とその後の成績を買われて

最年少女性チーフだ

「うっそ。……ちなみに…理由は?」

聞きにくそうに芽衣が言葉を濁す

「ん…、んー、耐えられなかったのよね、私が」

何が、は告げない

まだ、告げられない

「でも、相手はまだ未練有って感じだったけどー」

「もう三年前の話だよ?」

時効よ、時効
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