初彼初狼

『神戸ちゃん、先週末にFAXしてくれた客先にこの請求書作り直してまたFAXして貰って良い?
 そしたら私のパソコンにメールで送っておいて?』

「ハイ!」



返事はしたものの、今更不安になりながらパソコンへ向かう。

請求書は、出来た。
あとは、お客様の名前・・・


「・・・ドコだっけ。」


思い出せ 数日前のこと 客先・・・


全然思い出せそうにない私の頭に嫌気がさして、
同時に泣きそうになったころ


『○○商事
 うちの大事なお客様だろうが。』


天の声に振り返ると


「・・・岡野主任・・・・・」


『神戸、ちょっとどいて。』


その言葉通りに動く。

私の席に座った主任の動きは、もうスマートで。惚れ惚れしてしまいそうだった。


タイピングをすばやくこなし、あっという間に請求書を作り代えると、
受話器を取りながら、私へFAXの指示をした。


「すみません。ありがとうございました。」

『・・・』
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