妖精と精霊と人間と

 皆は丘の上に着くと、今までの戦いがウソのようにくつろいだ。ラーグウェイは、装備品の手入れをしたり、魔法の練習をしたりしていた。美香は美咲と共に、魔法の練習をしていた。より高度な魔法の練習だ。明は、剣技の練習をしていた。新しい技を生み出す事に、余念がなかった。北斗は、西の城・ヴィヴァーチェと北の王城・シュベレスを交互に見つめていた。デントは、北から登って西に沈む太陽を眺めていた。青く昇った太陽が赤くなっていく様子を。ブラウンは、道具の整理や木の実などの食料の調達に忙しかった。リデロは、そこに今夜野宿するためのテントを張っていた。
 夜になると、紫色の月が昇っていた。皆は夕食の後も、またくつろいでいた。これほどまでにくつろげるのも珍しい事であった。珍しく、何もよって来なかった。それが、逆に怖いくらいだった。
< 143 / 218 >

この作品をシェア

pagetop