妖精と精霊と人間と
 美香と明は幼馴染だ。幼稚園も小学校もずっと一緒だった。何をするにも、いつも二人一緒だった。だが、北斗が来て全てが変わった。美香が笑顔を向ける相手が、自分一人じゃなくなった。次第に、美香の笑顔は北斗に向くようになった。最初は、北斗への思いはライバル心だった。だが、時が経つと共にそれは劣等感へと変わった。嫉妬と言う名の。年頃の明には、自分のお気に入りのおもちゃを横取りされたような気分になったのだろう。この前も、美香と北斗が話しているのを見た時、正直辛かったのだ。見たくなかったのである。自分が手に入れようとした者を、ライバルに横からさっと奪い去られた。そんな感覚がしたのだから。
 その全てが、その思いが、彼の思考を支配した瞬間、彼は理性を失った。
 〔我、西の帝王・デーモンキング様にお仕えする者なり。〕
 明がそう呟くと、デーモンキングは彼を王の間の下の部屋に通した。第四の部屋に。
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