妖精と精霊と人間と

第十九話 北の王城・シュベレス。

 出発してから十日目の朝。ついに、北の王城・シュベレスに着いた。そこには、最愛の兄エネル・グリード・スターと、最愛の父グリード・スターが居た。
兄は、周辺の国や町、村や集落から、戦士と呼べるに相応しい者達を集めて、北斗達が出発した朝に城にたどり着いていた。その軍には、エルフ・ドワーフ・オーク・人間・ホビットなど、多種族が集っていた。父が兄にそれの理由を聞くと、父は国中に響き渡るほどの遠吠えを放った。すると、兄が来てから五日後には、それは、それは、素晴らしい軍勢が出来上がっていた。だが、その人数はまだ、敵の軍には及ばなかった。こちらの軍は一万いるのならば、あちらの軍は百万。いや、一億は居るのだから。
 「父上、兄上・・・・ありがとうございます。」
 北斗がそう言って王と兄に跪き頭を下げると、二人は顔を見合わせた。そして、王はこう言った。
 「面を上げよ、我が息子よ。大きくなったな・・・・・・ノース!話はエネルから聞いてある。大変な長旅、ご苦労であった。だが、彼奴(きゃつ)等は先刻の我が遠吠えで気付いたであろう。明日、彼奴等の所へ攻め込むが・・・良いな?」
 「承知致しました。」
 北斗はそう言って王に一礼すると、客間へと戻っていった。
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