妖精と精霊と人間と
 「北斗、待たせたな。」
 明がそう言うと、北斗はにっこりと微笑んだ。
 〔ほう・・・さすが、グリード・スターの息子の仲間だ。すばらしい・・・〕
 デーモンキングはそう言うと、窓辺に向かって外を見下ろした。父の軍と兄軍が、デーモンキングの軍勢と戦っている。空は黒く染まり、雷が轟いている。デーモンキングが天を指差しゆっくりと地面に振り下ろすと、父の軍と兄の軍に雷が落ちた。
 「何をする?!!」
 北斗はそう叫ぶと、デーモンキングに冷たい息を吹きかけた。デーモンキングは窓の外へと飛び出した。北斗も、後を追うと大声で嘶いた。彼が嘶くと、天馬となった白馬のメアラス、黒馬のイオ、ナキ、アイルがあらわれた。だが、ゼリムは昇ってこなかった。メアラスに明、イオにデント、ナキにリデロ、アイルに美香が乗ると、北斗は白と黒の羽根を翻し、デーモンキングの目前に立ちふさがった。
 「皆!技の出し惜しみ、しないでよ?」
 北斗の言葉に皆は真剣な表情で頷き、臨戦態勢になった。もう二度と友を失わないために。
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