妖精と精霊と人間と

第二十五話 ラストバトル後編

 美香は、深呼吸をすると、杖の矛先をデーモンキングに向けた。
 「この大気に流れる、空なる気よ。われの杖の矛先に触れ、烈火のごとき炎となれ!フレア・アップ・ファイアー!!」
 美香の大地の精に貰ったルビーの髪飾りが輝くと、美香の杖の矛先から、今までに無いくらい強力な炎が飛び出した。それは、デーモンキングに当たりはしたものの、彼はマントを翻してそれをかき消した。
 「炎の精・イフリート、風の精・ジンよ!我に敵を滅ぼすだけの力を!クロス・オブ・ファイアー・ウィズ・ウィンディー!」
 明がそう言うと、風のエメラルドの指輪が淡く光、炎に包まれた剣は風の力でさらに勢い良く燃えた。そして、それを空中で十字に斬ると、デーモンキングに多少のダメージを与える事が出来た。すると、彼のつけていた仮面に縦にひびが入り、ボロリとその面は落ちていった。美しい紫色の瞳に、その色のルージュにアイシャドウをつけた、長い黒髪の青年だった。
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