妖精と精霊と人間と
 「そうか・・・お前がこれを持っていたのか。」
 リデロはそう言うと、それを握り締めて目を閉じた。すると、今までの彼との思い出が、走馬灯のように駆け巡った。それを思い出すと、彼はその場で静かに涙をこぼした。
 「大丈夫か?」
 しばらくしてから、彼はそう言った。リデロは、涙をぬぐうと鉱山へと帰っていった。ノースも、しばらくすると城へと帰っていった。
 それから、さらに五年後。シャムブレスに書いてある通り、第二王妃にセリアの純潔のオーク・カスタを迎え入れた。そして、三年後、息子の『デスタ』が生まれた。これで、跡継ぎの問題はまったく無くなった。シャムブレス第一章によると、『跡取りは王子に限る。そして、それは、純潔でなくてはならない。』となっている。ここだけは、デントも改正しなかったのである。
 デントとラナは、それからずっと、幸せに暮らした。さらに生まれた、息子と娘と共に。たくさんの家族に囲まれて。
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