妖精と精霊と人間と
 それが終ると、妹を鉱山に置いてきたナキが走ってきた。ナキは彼に擦り寄ると、自身の背に乗せた。
 「帰ろう!もう、思い残す事は何も無い。」
 リデロがそう言うと、ナキは全速力でかけていった。思わず、リデロは叫んだ。あまりにも、嬉しかったから。
 「ただいま。リベロ。父さん。」
 鉱山の奥のリデロ達の住まいに着くと、彼はそう言った。父のギルドは、感動の涙をこぼしていた。妹もそうだった。
 「お帰りなさい、お兄ちゃん。」
 「おかえり、リデロ・ドラン。」
 ドワーフの民族衣装を着たリベロは、美しかった。どんなに時が経っても、それは変らなかった。リデロは、嬉しさのあまり涙した。この、幸せが一生続くものだと感じられたから。
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