妖精と精霊と人間と

第二十九話 本の外の世界

　デントがイオにまたがり、セリアのオークの元へ帰って行くと、リデロもナキにまたがり、モリアの鉱山へと帰っていった。
　「さあ、僕らも・・・帰ろう。」
　北斗がそう言うと、美香はにっこり微笑んだ。オレンジのドレスを翻して。
　「ほぉらぁ、明ぁ！もぉ・・・早くお城に戻ろおよぉ。」
　そう言うと、美香は明に手を差し出した。その手を取ると、二人はユニコーンとなって走っていく北斗を追いかけた。
　城に着くと、美香は目を瞑りゆっくりと開いた。おかしい。瞬きなどの時くらいしか、美香のままでいられる事は無い。
　「美香・・・さん？」
　ブラウンがそう言うと、美香は走っていった。自分の部屋まで。ドアに鍵を掛けると、タンスを開いた。全面鏡のそこには、笑顔の女性が居た。鏡の前に立っている女性とは、まったく正反対の表情だった。