妖精と精霊と人間と

第十一話 ログハウス

 エルフの目には、遠くに洞窟が見えた。多分、あそこにバンクスは居るのだろう。入り口に、ディゴリスのオークの近衛兵が二人見える。
 「どうやってあそこまで行くつもりだ?」
 ラーグウェイがそう言うと、近くに居たシービショップがこちらに来てこう言った。
シービショップとは、その名の通り海に住む聖職者だ。上半身は人間の姿をしており聖職者の服を着ているが、下半身は魚のようになっている。しかし、その性格は優しく穏やかで、人に道を教えたりするなど、まるで人間の僧侶の様に生きているのである。
 「迷える子羊よ。何かお困りですかな?」
 シービショップはそう言うとにっこりと微笑んだ。
 「嗚呼、ディゴリスのオークの元へ行きたいのだが、近道を教えてくれないか?」
 「何かお探しですね?あそこは、明後日がディゴリスの復活祭。明日は、復活祭の準備で忙しくなるはずです。なので、明日向かいなさい。そうすれば、探し物もすぐに見つかるでしょう。」
 シービショップはそう言うと、海のほうへと戻って行った。
 「じゃあ、今日はここで野宿しようか。それとも、もう少し先が良いかな?」
 北斗がそう言ってにっこりと微笑むと、リデロがこう言った。
 「ノース。あそこ、木造の家が見えるでしょ?あそこにしない?」
 「わあお、可愛いじゃん♡」
 「それじゃあ、行きましょうか。」
 美香の後にブラウニーがそう言って、皆はその家に向かって歩いて行った。
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