あふれる涙のドロップス

「僕は、凛と出会えた事が、幸せだったんだ」



「海斗……」



 グスン、と鼻をすすって、僕に抱きつく。



「今日、さ。南と話したんだよ。そん時にさ、前、笠置さんが、男子生徒に殴られてたこと、覚えてる?」



 凛は、黙って頷く。


「あれ、南がやったんじゃ、無いらしいんだ」



 そうだろうね、と凛は、呟くように言った。



「わかってたんだ?」


 
「あのあと、男子生徒三人のこと友達に聞いてみたら、南さんに皆告ったみたい。単にフラれた腹いせにやったんでしょ」



 
 僕は、凛の慧眼に舌を巻く。 
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