あふれる涙のドロップス
 その日の数学の時間、退屈だったし、アタシは窓際の席なので、運動場を眺めていた。



 すると、その時間には、2年3組が保健体育で、陸上競技をやっていた。



 ふーん、3組リレーやってんだ。疲れるだけの競技なのに。



 頬杖をついてずっと見ていると、見覚えのある男子を見つけた。




 _____たしか……あいつの名前は___立川 海斗。



 
 
 男子バレーボール部に所属していて、頭も結構良くて、運動神経も抜群。そして、何より学年一モテる男子。



 アタシのクラスにも、結構立川くんのことが好きな子多くて、告った子も多い。でも、その返事はいつも、『ごめん』。



 

 _____振られるってわかってるなら、告るなんて、無駄なのに。




 
 冷めた目で女子を見つめてたアタシは、今思えば、本当の恋、なんてしたことなかったんだ。



 立川くんをよく見ると、ぶっちぎりで一番で、まるで風のように走っていた。
前を見据える彼の眼差しは、ドキッとするほど真剣で、光り輝いていた。



 

 _____君に決めた。






 アタシの初めての初恋の人は、立川 海斗となった。
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