偽りと君



「…幸せになれる人…選ぶんだよ?
適当じゃダメだよ? 航。」




あたしが読んだ名前に航は顔をあげて



口を開く。








そして、何も言わずに口を閉ざす。





「じゃあね」







一足早く、エレベーターから降りると

振り向かずに出口を目指した。




だから、あいつが




「…___」





呟いていた言葉を聞くことはなかった。






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