君と歩く未知
 アタシは重たい体でベッドから起き上がった。
そして身の回りを片付け始めた。
ここ二日ずっと寝ていたせいで、身の回りはずいぶん汚くなっていた。
脱ぎ散らかした服、食べて放ったままのお皿、涙を拭ったティッシュ…
そんなものが所々に散らかってしまっていた。
それを片付けながらアタシはカズくんに返信を打った。
<わかりました。
待ってます。>
妙な敬語で返信をしてしまった自分に少し嫌気が差しながら思った。
このメールがカズくんに送る最後のメールになってしまうのかな…って。
そう思うとどうしようもなく涙が溢れて来る。
 …頭ではわかっているんだ。
このままアタシとカズくんが付き合っていると、カズくんにとって辛くなる一方だって。
…でも心がわがままを言うんだ。
どうしてもカズくんと離れたくない、大好きなんだって。
 初めて付き合った人だもん。
初めて本気で愛した人だもん。
本当は…できれば離れたくないよ。
アタシは一通り部屋をキレイにしてからまたベッドに戻った。
そして布団に包まって涙を流した。
赤ちゃんを堕して毎晩のように泣いていたけれど、涙は枯れることなく流れ落ち続ける。
大好き。
大好きだからこそ、さようならをした赤ちゃん。
大好きだからこそ、さようならをしようと思ってるカズくん。
間違ってないんだよね?
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