君と歩く未知
 「あ!やっぱりここにいたー!」
アタシはその声にビックリして振り向いた。
するとそこには美和ちゃんがいた。
「一緒に帰ろうって約束してたのにー!校内探し回ったしー!」
アタシは美和ちゃんとの約束を思い出してハッとした。
「あーっ!ごめんねっ!すっかり忘れてた!」
「何それー!ひどーいっ!」
そんなことを言いながらアタシは美和ちゃんの元へ駆け寄った。
「ん?何それ?持って帰るの?」
美和ちゃんはアタシが持っている絵を指差して言った。
「…うん。これ、カズくんの絵なんだぁ…。まだ製作途中だし、持って帰っちゃダメなのはわかってるんだけど…見つけちゃったら手放せなくって…」
美和ちゃんはアタシの頭にポンッと手を乗せて言った。
「ドロボーはダメよっ!…でもそれはアタシが許してあげる!…大事に持っときなよ…」
アタシは美和ちゃんの優しさに胸が温かくなった。
アタシが強く頷くと美和ちゃんはニッコリ笑ってアタシの頭をポンポンと叩いた。

 あの絵は今でもアタシが大事に持っているよ。
きっとカズくんは絵が突然消えて驚いたよね。
――ありがとう――
アタシのあの心からの言葉はカズくんに届いたかな?
一番単純だけど、一番伝えるのが難しい。
――ありがとう――
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