君と歩く未知
消えない傷
 あの花火大会から一ヶ月、アタシたちは文化祭の絵を描くことに時間を費やして夏休みを終えてしまった。
おかげで、夏休み明けのテストはアタシもカズくんも散々だった。
だけど、カズくんとの合作は見事完成し、アタシが頭の中で描いていたとおりの絵に仕上がったから良しとするか。
合作は、美和ちゃんや、直紀くん、竜平くんにもとても誉めてもらい、アタシは嬉しくて仕方なかった。
だって、あの合作はカズくんとアタシの愛の証拠みたいに思えたから。
明日はいよいよ文化祭。
アタシとカズくんは放課後の美術室に残って、作品の展示をしていた。
結局、文化祭にはアタシの絵を八枚。
カズくんの絵を三枚。
合作を一枚。
合計十二枚を展示することに決まった。
…でも、それはアタシの知ってる範囲の話。
カズくんはアタシに見られないように自宅で描いている作品がいくらかあるんだった…
だけど、いよいよ明日が文化祭だというのに、まだカズくんは絵を持って来ない。
だからアタシは今日ちょっと不機嫌。
そんなにアタシに見せたくない絵って何なの?
アタシはイライラしてカズくんに尋ねた。
 「ねぇ、カズくんが家で描いてる絵ってまだ持って来てないの?」
カズくんはまるで今思い出したかのように声を上げた。
「あ!…忘れたー、どーしよ。…仕方ないな、明日の朝早くに学校に持って来て準備するよ」
下手な嘘。
そんな嘘をつかれると余計にイライラする。
アタシは準備を途中で投げ出してバッグを手に持った。
「ちょっと今日は頭痛いから先帰る、アタシも明日早く来て準備する」
そう言ってアタシが美術室のドアを開けるとカズくんは、
「あぁそう。じゃあまた明日な」
と言って、手を振った。
…なにそれ。
『大丈夫?』の一言も言ってくれない。
『送ろうか?』とも言ってくれない。
なんだか、イライラして仕方ない。
イライラってゆーか、なんか悲しい。
アタシはとぼとぼ校舎を歩いていた。

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