雨の日に、会いましょう。


例えば、この世の中に

『巡り合い』って運命が本当に存在するとして。



それはきっと、こうゆう事を言うんだと思う。


何気ない日常に、そんな運命は落ちていて。

その運命の『巡り合い』を拾えるのは
ごく稀に等しいけれど、心の奥底から願えば
そんな稀な運命さえも自分の手で引き寄せられるのだと思う。




あたしが雨を嫌いになったのも、読書が大好きな事も、

元彼にフラれた事も。


全ては、彼に出会う為の掛け橋だったのだと思えば、それさえも愛しい過去に変わる。

かけがえのない、愛に変わるんだ。




「ねぇ、東さん。」

「はい?」


抱き締めてくれる彼に、ようやく涙を止めたあたしはそっと東さんの耳に口を寄せた。



そして言うの。

「雨の日に、会いましょう。」



それが、あたしからのあなたへの告白。






fin,
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