好きと言えなくて
「ごちそうさまでした! これで午後からもバリバリ働けます!」

「うららちゃん、ワシは仕事も頑張ってほしいんやけれど……」

食後にお茶を飲みながら、社長が穏やかな口調で言った。

「従業員同士、仲良くしてほしいんや」

社長の言葉に、お互い顔を見合わせた。

「大丈夫ですよ! 松山さんは、私のお姉さんみたいな方ですから……ね?」

出た……悪魔の微笑み。
私は、なにも言わずに微笑んだ。こちらは、氷の微笑みだ。

「それならええんやけれど……」

社長は、席を立って、ボソッと呟いた。

「若い男が、ひとりしかいてないから」

社長、なんとなく察しているみたいですね……。

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