好きと言えなくて
川之江太
披露宴が終わり、みんなが帰ってゆく中を、私はすぐ正義に電話をした。

「もしもし、葉子です」

『ああ、葉子さん!』

レストランの外にある、ベンチに腰をかけて電話をしていると、さりげなく隣に太くんが座った。

どういうつもりやろ? ドキドキする。

『……葉子さん? どうしたん?』

「あ、いやっ、別に。今日は、疲れたから、これから真っ直ぐ帰るわ」

『それなら、送ろうか?』

「ちょっと……」

会話、聞かれてる? なんとなく、太くんには、彼氏がいることを知られたくなかった。

『あ、スカートやし、バイク無理か!』

「うん……ほな、また」

『えっ? 葉子さん!?』

太くんが気になって、手短に電話をきった。
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