嘘つきなポーカー 1【完】


ある日、黒虎のアジトで月に1度の大規模な会議を開いていた。


「3年前、白龍のトップが三上に交代してから、あいつらのやり方が汚くなっている。」


黒虎のトップ2である雅人が深刻な顔で話す。

「前のトップは卑怯なやり方は好まなかったが、三上は平気で人質をとり、刃物を使う。」


その時、恭平の携帯が鳴り、一旦会議が中止される。

ディスプレイには「非通知」の文字だ。


こんな時に誰だ、とため息をつきながら恭平が電話を取ると、耳元で見知らぬ男の声が聞こえてきた。


「白龍のメンバーだ。」

恭平は眉をひそめた。

「…何?」

「お前の女を誘拐した。」


恭平は男の言葉に耳を疑った。

そして、その男の「ほら、話せよ。」という声と共に、女の声が聞こえてきた。


「私。私を殺されたくなかったら今すぐ白龍のアジトに来いって。黒虎との全面対決だって。」


声の主は、瑠美だ。


瑠美はそう言った後、聞こえるか聞こえないかぐらいの声で囁いた。


「こいつら、私をあの子と勘違いしてるみたいなの。」







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