嘘つきなポーカー 1【完】


残された奈津子と薫。

薫は奈津子のもとに歩み寄ると、奈津子の目の前にしゃがみ込み、奈津子の瞳の中を覗き込んだ。

間近で見る薫の顔は、遠くで見るよりもずっとか綺麗だった。


「…ありがと。」


奈津子は目を逸らして呟いた。


「寂しくてたまんねぇって目をしてんな。」


薫は呟いた。


「え…?」

「逃げ込んだのがあいつらのところか?」

「……。」

「図星か。」

「うるさい。あんたに何が分かるって言うの。」


奈津子がそう言うと、薫はふっと笑って答えた。


「分かる。居場所を求めて逃げ込んだ先も、本当の居場所じゃなかったと気付いた顔してやがる。」

「……っ」


奈津子は何も言い返すことが出来なかった。

薫の言うことは全てその通りだった。

この人は心の中を読むことができるのかと疑いたくなるほどだ。



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