優しくないっ、優しさを感じない!


「ずいぶん慣れたって言ってた、レナちゃん。それってきっと結構帰ってるってことだよね?あれ?今までそんな話無かったのに急に?って、知り合ったからコースケも声かけやすくなって…そうだ、夏休みだから時間とかもきっと放課後とは違うし。でも今までも見かけた時はレナちゃんも教えてくれて…てか、そういえば試合見に行くってなった時、連れてきてってコースケ、なんかやけに力入ってたような…」


…だんだんと、見えてきたような気がする全貌。


ーードクンドクンと、心臓が変に動き出す。


「…も、もしかしてさぁ…」


ゴクリと、あたしは唾を飲み込んだ。なんだかすごく緊張している。怖くすら感じる。



「…コースケって…レナちゃんの事、気になってる…の?」



…まさかと思いつつ、あたしはそれを告げる。頭の中で生まれた仮説。それをなんだか答えを知ってそうな進藤を前にしたら、口にせずにはいられなかった。


…だけど、


「さぁ?どうだろう」


返って来たのは、そんなあたしの想いを突き放す言葉。

あれだけ含ませておいて、無責任にもその責任を放棄する言葉。


「ただ、その可能性は多いにあるんじゃないかって話」


そして、「またその逆も然りってね」なんて、まるで明日の天気の話をするかの様に、何事変わらない普段のままの様子で進藤は言った。

ーーそれを聞いて、理解してしまった今のあたしの心境にだって、絶対気づいてるはずなのに。


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