優しくないっ、優しさを感じない!


「おはようヒロちゃん!学校始まっちゃったね」


いつも通りに教室に着けば、いつも通りにレナちゃんはそこに居て、あたしに挨拶をしてくれた。だからそれにあたしも応えなきゃって、挨拶しようって、いつも通りならついでに“もう少し遅起き生活したかったな~”なんて言ってみたりして、それで…


「…ヒロちゃん?」

「…あっ、…うん、おはよう」


……やっぱり、ダメだ。心が着いていかない、戻って来ない。しかもレナちゃんの顔見たら…なんだろう。どんどんいつも通りからかけ離れていくみたいだった。


いつも通りが出来ない。だったら、いつも通りになれるように今ある問題を解決しないといけない。

レナちゃんになんて話せば良いんだろう。どうやって話し出せば?…てか、あたしはレナちゃんと何の話をするべきなんだ?何の話を…って、そんなの五日間ずっと考えてきたじゃん。そんなの答えは一つだったじゃん。

“レナちゃんはなんであたしに秘密にしてるの?”

そう一言聞けばいいだけじゃん。ほら、言いなよ。レナちゃん心配してるよ?あたしがなんか変だから。コースケの事なんてレナちゃんからしたら関係無いんだし、あたしがレナちゃんに言えるのはこれだけだよ、そうでしょ?それも考えたら簡単な事じゃん。

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