優しくないっ、優しさを感じない!
「うん。優しくしたくない、したらいけないって思ってても優しくしちゃう事ってあるでしょ?その時タケル君は自分に言い聞かすの。ここは優しくするべきだった、しなければならなかった、そうしたらこんな結果になるから、だからここは…って、そんな計算ばっかりしてて、それを笑顔で隠してるんだよね」
「……」
自然と流れるように語るレナちゃんの進藤像は、なんだか正直…今のあたしが知る進藤と比べると違和感だらけだった。進藤は思ってる事すぐ態度に出すし口にだって出す。それこそ遠慮なんてこれっぽっちもないくらいに。
でも…あたしにも一応分かってる。それはきっと今だから思う事で、出会ったばかりの頃の進藤は確かに、確かにそうだったかもしれないと。
だからあたしは裏表が激しいとか、騙されたとか、そんな事を思ったのかもしれない。かつてのあたしはそう思って突っかかって言葉でコテンパンにされた記憶がある。それに…そうだ、言われてみれば。進藤は簡単に想いを口にするのに、大事な所は絶対隠すんだ、いつも。そんな矛盾が、奴にはある。
「…進藤は、自分に意味のある人には優しくするって、好意を持ってくれる人にも優しいんだって言ってた」
「そうじゃないとまた何か起こってからじゃ遅いから。だから優しくする事の意味をそういう事だって決めたみたい」
「でも、だから優しくする意味がないあたしには優しくしないって。あたしの話を聞くのは親切だって」
「そういう事にしないと自分の行動に意味が無くなるから。仕方なくしてるって事にしないと、今までの優しくするって行動の意味を全部否定する事になるから」
「でもそれ聞いてると、今思えばなんだけど…別にレナちゃんの友達だから、とか、あたしにだって優しくする意味は何かしらあったはずだよね?」
「…その理由が見つからなかったくらい、それくらいタケル君はヒロちゃんに対する態度とか気持ちとかに驚いてたんだと思う。だってヒロちゃんは…中村君の事が好きだったから」
「…え?」