優しくないっ、優しさを感じない!


「…なんて、今なら思えるけど…きっとあのままだったら思えなかったんだろうな」


ダメになったって分かって落ち込んでそのままだったらもちろん無理。乗るのをやめてあそこにいてもきっと無理。今あたしがここでこんな軽い気持ちでいられるのは…密かに、アイツのおかげだったりするかもしれない。


「…でもアイツ、愛想は悪いしあたしの事バカにするし自分は無理矢理乗せても良いと思ってるし、なんかもう全然良い奴じゃないんだよな、本当」


それがなんだか、不思議だなと思う。良い奴じゃないしあたしの事なんてこれっぽっちも考えてくれて無い感じなのに、でも結局あたしには良い方向に持って行ってくれた…というか、持っていくことになってたっていうか。


「まぁ、いっか。また明日にでも会ったら一応お礼言っとこ。帰って良かったみたいだって」


ーーそして夜になって、コースケからメールが来た。今日はごめん的な内容のそれにあたしは今度奢ってねと返事をして、了解の言葉ですんなりやり取りは終わる。

ちゃんと連絡くれて良かったなと、少しホッとしたあたしが居た。あたしの事ちゃんと覚えててくれたんだ、なんて……いや、音信不通になって放置されてたんだから謝罪メールくらいくれたってもちろん当たり前なんだけどね?だけどやっぱり惚れた弱みといいますか…結局そういう事なんだよ、そうなっちゃうんだよ。


「あーあ。次はいつになることやら」


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