マルカポーネの心配事
気合を入れた由紀は、幸せそうに俺を膝の上に抱きながら映画鑑賞。

静かに映画鑑賞。

静か過ぎると思っていたら
座椅子にもたれて

寝ていた。

見慣れない映画見るからだ!
だいたい
お前の最高傑作は【千と千尋の神隠し】だろうが。
それがいきなり
ゴダールだ小津だって……レベル高すぎ。

ガッカリと肩を落し
俺は由紀の膝の上から降りて
ブランケットを口で引っ張り、由紀の身体の上にかける。

DVDはあと1時間以上も
見る人がいないまま流れる事になるだろうか。

「……矢沢さん」
むにゃむにゃと口を動かし
満足そうにその名を出す由紀。


俺は最高に嫌な予感を隠しながら、ゴダールを最後まで見続けた。

あぁ【南極物語】が見たい……。



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