ユーダリル
二人が一緒になり静かになってくれるとしたら、これほど嬉しいことはない。だから早めに、頑張って告白してくれればいいと思う。要は、都合のいい切っ掛けが見付からないのだ。
「結婚できたらいいね。セシリアさん。兄貴を褒めるのは癪だけど、似合いのカップルだから」
「……はい」
「元気ないね。やっぱり、うつしたかな? そうだったら、御免。この風邪は、結構長引くよ」
「だ、大丈夫です。あ、あの……私は、残っている仕事を行ってきます。ウィル様は、寝ていてください」
その言葉と共に、ユフィールは逃げ去るように行ってしまう。その時、隣の部屋から物凄い音が聞こえてきた。続いて響くのは、ガラガラという崩れ去る音。更に聞こえてきたのは、すすり泣く声音が聞こえてくる。
どうやら、何かを倒してしまったようだ。
「ユフィール?」
「だ、大丈夫です」
そのように言うが、先程の音はかなり大きい。怪我をしていないか心配になったウィルは寝台から身体を起こすと、ユフィールの様子を見に行くことにした。案の定、ユフィールは散乱した荷物に悪戦苦闘中。しかし、ひとつだけいいことがあった。それは、食器を落としたのではないということだ。
「手伝うよ」
「ウィル様は、病気ですから」
「また泣かれたら、困るから」
その一言に申し訳なさそうな表情を浮かべると、ウィルに片付けを手伝ってもらうことにした。
病気の影響もあり、体力は低下していた。いつもなら軽々と持ち上がる荷物も、珍しく苦戦をしている。
だが見ているわけにもいかないので、進んで仕事をするしかない。何より、ウィルは男である。
だが無理が祟ってか、ウィルの病気が悪化してしまう。
お陰で、更に数日の療養が必要となった。
◇◆◇◆◇◆
今日という日の訪れに、アルンは苦悶の表情を浮かべていた。それは、嫌いな――いや、苦手な両親がやって来るからだ。