ユーダリル

 聞き訳がいいことに、ウィルは満足そうに頷く。彼女を邪険に扱っているのではない。ただ、心配で大切に思っているからだ。また、反射的にゲーリーを殴る可能性が高いので、その現場を見せなくなかった。

 やはり、暴力はいいものではない。ウィル自身、ユフィールには清く正しく美しくあってほしかった。

「じゃあ、兄貴のもとへ出発」

「はい」

 自分を心配しているので、このようなことを言っている。雰囲気と態度で判断したのか、嬉しそうに微笑む。

 その後、肩を並べ歩きアルンのもとへ向かう。

 勿論、アルンはいい反応を見せなかった。彼は「決闘」と聞いた瞬間、激しく顔を歪めた。

 しかし、男同士の戦い。

 暫く考えた後、口出ししてはいけないと判断する。そして、渋々ながら了承し手を出さないと約束した。

 これにより、ゲーリーとの決闘が正式に決定した。

 ウィルはその日が来るまで、身体を鍛え続ける。

 そして、その日を迎えた。

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