ユーダリル
不真面目な決闘

 約束の日。

 朝から晴天に恵まれていた。

 今日は、ゲーリーとの決闘の日。

 当初寝惚けていたウィルであったが約束を思い出した瞬間、寝台から飛び下り着替えていく。更に、決闘に必要な道具を揃え袋に詰め込むと、朝食の支度をしているユフィールのもとへ行った。

「おはよう」

「おはようございます。朝食は、もう少しお待ち下さい。今、パンを焼いていまして……他はできています」

「それはいいよ。待っているのは、慣れているから。焼き上がるまで、椅子に座っているから」

「はい。今日のメニューは、野菜スープになっています。具を沢山入れてありますので、栄養価は高いです」

 ウィルに勝利してほしいという思いから、ユフィールは朝食作りに力を入れた。スープには、大量の野菜が入れられている。人参・ジャガイモ・玉葱――他にも、様々な野菜が目に付く。

 香草を用いているのか、独特の香りが鼻腔を擽る。しかし、決して不快な匂いではなかった。

「美味そう」

「ウィル様好みの濃い味です」

「おっ! 珍しい。普段は身体に悪いと言って、濃い味付けにしてくれなかったけど。どうした?」

「決闘ですから。朝から気分が悪いと、いけないでしょうから。ですので、濃い味付けにしました」

 ユフィールの心遣いに、胸が熱くなる。流石、ウィルを第一に考えている人物。その点は、抜かりがない。

 日に日に、手料理が上手くなっていく。勿論以前も上手かったが、今ではプロの腕前に近付いている。やはり好きな人の為に作っているというところが、進展に繋がっていたりする。

 ほのぼのとした会話が続く。

 それが時間潰しとなったのか、パンが焼け上がった。

 竈からパンを取り出す。熱々のそれは白い湯気が立ち上り、見た目は店で売っているパンと同じ。それに生地の中に胡桃を練り込んで焼いたのか、所々に見え隠れしている。ウィルは熱いパンを手に取ると、息を吹き掛けつつ食していく。相当美味いのか、表情が緩む。
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