【短編集】思春期は欲望の色
ひとりの冷酷で妖艶な美しい少女と彼女に魅了された愚者等の話

❶スプーン side小学



クラス替えをして 初めての給食

君は笑って スープを飲んでいる


スプーンですくって スープを口に運ぶ

スプーンに ひとくち ひとくち


エロいなあ……


君が 口を軽く開いて その中に

真っ赤なべろと 小さい歯がのぞいて

でもすぐに閉じられる 結ばれるくちびる

喉元が上下して 飲み下されるスープ


君のクセ 気付いていないみたいだけど

ひとくち飲むたびに ちろり 真っ赤なべろが

小さくてやわらかそうな ふっくらとしたくちびるの

上を なでるように なぞるように 舐めて

べろと同じように 紅く濡れる 紅く 紅く あかく


艶めく紅さが 次のスプーンに写って

スプーンに写る 君のくちびるは

どうしてかな 本物のくちびるよりも

ずっと綺麗で ずっとエロい


  
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