なんで私が芸能人ッ!?








「いやー、迫力があって良かったよ!!」




「監督、でも少し過激すぎじゃ……。」




監督にスタッフの一人が口出しした。




「けど、良かっただろー?」




「まあ、リアルでしたけど……。」





監督達が会話してる間に意識がりまへ戻った私は、未夢がやったことを思い出して土下座なみに宮崎さんに頭を下げた。





「宮崎さん!!
あんなことをさせてしまって、本当に申し訳ありませんでしたっ。」




「………良いわよ、楽しかったから。」





え……?
さっきのが楽しいってもしかして宮崎さんM……?





「そっちじゃないわよ!!
リアルに未夢と恵梨でいれたことよっ。」





あっ、なんだ……。
でも、なんで私が思ったことがわかったんだろう?
もしかしてエスパー……?





「いっとくけど、顔に出てるわよ?
ったく、あんだけ演技ができてなんで顔に出るのかしらね。」




「…………。」







******************************撮影終了後*************************************





「皆!!
クランクアップおめでとう!!!!!」





監督の一言に皆が乾杯した。
そう、今日は撮影終了のお祝いだ。





「今回は主役の宮崎凛花の事情により、通常の倍のスピードで進んだ撮影だった。
本来ならこのドラマの最終回の放送の日に打ち上げといくくらいだ。
しかし、そんな中でこの撮影が成功した!!!
これはひとえに、皆の努力の賜物だっ。
私は、このドラマの監督になれたことを誇りに思う。」





監督の言葉に、一斉に拍手が上がった。
すると、今度は宮崎さんが





「皆様、今回は私のためにハードなスケジュールを組んで頂いて本当にありがとうございました。」





そういって、綺麗な仕草で頭を下げる宮崎さん。





「私はこのお仕事をお引き受けする前に、海外に行くことが決定していました。
しかし監督が、それでも構わないと言って私を推薦して下さったのです。
推薦してくださった監督、スタッフの方々、並びに共演者の方々には本当に感謝の一言に尽きます。
そして私は、皆様のお陰でクランクアップできたことを誇りに思います。
ありがとうございました!!!」





宮崎さんはもう一回お礼を良い、頭を下げた。
再び会場は拍手に包まれていた。





…………けど、私の手は動かなかった。
だって、海外へ行くなんてっ………!!!
これからもっと宮崎さんと演りあえると思ったのに!!!






そうしてショックを受けたまま打ち上げを過ごした。
すると………





「矢城さん。」





お決まりのパターンになったかのような声。
でも、もう私は一瞬で誰だかわかった。





「なんでっ……なんで海外なんて行っちゃうんですか?宮崎さん。」





私は海外へ行くことが良いことだとはわかっていたけど、そう聞かずにはいられなかった。





「だって、ハリウッド映画に出れるのよ?
行くしかないじゃない。」





その答えを聞いて、思い知らされるんだ。
私と、宮崎さんとの差を。





「………………。」





私は唇を噛みしめるしかなかった。
だって、ぽっと出の私と若手No1の宮崎さんとは天と地の差があるんだから。






「…………私は、海外でさらに演技を磨いてあなたに差をつけるわ。
あなたはそれで良いわけ?」





「よ、良くなんか無いです!!」





「じゃあ、あなたも力を磨いときなさいよ?
……………あなたは、私のライバルなんだから。」







宮崎さんが最後の言葉を小さい声でつけたした。
私は、その言葉が信じられなくてつい聞き返してしまった。





「えっ?」





「っわかったわね!?」





照れたのか、焦ったように言う宮崎さん。





「はいっ!!!」





それに、私は全開の笑顔で返事を返したんだ。
でも、それだけじゃ足りない。
後ろを向いて立ち去ろうとする宮崎さんに、






「私、宮崎さんを追い越して更に差をつけちゃいますから!!!!!!!!!」





そう言った。




「ふふっ、望む所よ。」






宮崎さんはいつもの妖しい笑みを浮かべて去ってしまった。






「…………行っちまったな。」





ふと、隣から低い声が聞こえた。





「せ、先輩!?
なんでここに………」





「りまを探しに。
ライバルになれて良かったな。」





ポンって頭に手を置く先輩。




「はいっ!!
私、宮崎さんに追い付きますからっ。」




そう言うと先輩は立ち上がりながら、こう言った。





「ははっ!!んで、追い越して差を着けちゃうんだろ?
まあ、頑張れよ。」





笑ってる先輩に私は顔を赤くして反撃した。





「先輩なんでそれっ………。
追い越しますけど、悪いですか!?」





開き直ると、




「いいや、悪くねぇけど。」





私に背を向けかけていた先輩が振り向いて、にって笑った。





「りまのそういうところも、結構良いと思うぞ?」





私はそんな先輩の言葉に、なぜか心臓の音が早まっていた。

















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